『ラストニュース』はfreedom of pressの最後の砦

『ラストニュース』はfreedom of pressの最後の砦

NewsPicksアカデミア春学期、猪瀬直樹先生のゼミ第5回目に参加しました。

今回の課題図書は、欲望のメディアを読む。そして今週初めに追加となったのが、『ラストニュース』という猪瀬さん原作、弘兼憲史画のマンガ。91年から95年までビックコミックで連載されたもの。10巻を全て読むには、電子書籍でないと間に合わないので、kindleで購入しました。

『ラストニュース』は、テレビ局の報道番組で、夜1159から放送開始。その日の最期にニュースを検証する。キャスターは山口エリ。ショートカットの美女。私は小宮悦子さんがモデルなのかと思っていましたが、ゼミで聞くと、小池百合子だと。そう言われれば若い頃の小池百合子に見えてきました。連載の前、弘兼さんが、女性キャスターのイメージがわからないからという口実で(笑)猪瀬さんと弘兼さんと当時テレビ東京のキャスターだった小池さんで食事をしたエピソードを教えてくれました。

報道されたものに誤報はないのか?それってホント?警察発表を鵜呑みにしてない?プロデューサーの日野は、多角的にニュースを検証します。

だが優秀な故に、普通だったら見逃す取材相手の一挙手に気がついてしまい、実はそれが相手の策だと気づかない。
第1巻で、事件の証言として淡々と話しながら、料亭の女将がテーブルの下でハンカチを握りしめました。
日野は目ざとくその様子に気がつき、女将の哀しい気持ちを表していると思ったのです。
でも違和感を感じたエリは、本番直前にもう一度そのVTRを見ます。
そしてその違和感は、エリ自身の過去の一場面から来ていたのです。プレイバックPart2みたい。

エリの母親が、父と別れることをエリに笑顔で伝えた時の母の手にギュッと握られたハンカチ。
娘だからこそ、父と母のやり取りを見てきたからこそ、握られたハンカチから察することができた母の内面。
お母さん、本当は泣いていたくせに・・・。
翻って、女将の素振り。人の内面がそんなに簡単にわかるだろうか。私たちはわかろうとしてるのか?
エリの、女将が演技しているのでは?という指摘に日野がすぐ対処し、結局女将は嘘の証言をしていたことが本番前にわかったのです。
違和感は大事にしなければならない。そして情報は取りに行かないと絶対出てこない。

日本国憲法第21条

覚えているでしょうか。集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 報道の自由「freedom of press」。

本来の「プレスの自由」というのは、もっと別のものだったというのが猪瀬さんの話。
pressの意味は、本当は出版ではなく、公の情報、行政情報にアクセスする自由。
権力はまずい情報は隠す。だからそこにアクセスして、公の行為を批判する権利があるという意味なのだ。
その本当の意味を、憲法に盛り込むことができなかった。
なぜpressを上手く訳すことができなかったのか。
日本が革命ではなくせいぜい維新しか起こせなかったからだ。
権利を取りに行く、ということまではしていないから。

それでも『ラストニュース』はfreedom of pressを突き進む。
現実のメディアができないことを日野はやってのける。
とはいえ、私もテレビ局でアルバイトをした経験があるのでわかるが、テレビ局はやたら給料がいい。
それを捨ててまでfreedom of pressを選ぶか?
現実は難しいだろう。
『ラストニュース』は夢かもしれない。
この漫画を読んで、メディアの世界に入った方々も少なくないだろう。
もしそうなら、ドンファンやらなんとか学園やらそんな話よりは、公の行為をチェックし、おかしいことをおかしいと言うことを思い出して報道してほしいなと切に願う。

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得子(なりこ)
得子(なりこ)です。このブログを運営している、大学生の息子を持つ働く母です。
ポルノグラフィティとbacknumberが好きです。
2015年4月からMBA取得のため、仕事をしながら大学院で勉強しました。
2017年3月卒業。MBAホルダーです。
2級ファイナンシャルプランナー技能士。
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