会社が終わって、響子と麻子は地下鉄に乗った。
中洲川端駅に着き、ベローチェで軽食を食べた後、なりこママのバーが入っているビルへ向かった。
バーに一旦顔を出してから、シロさんに占ってもらおうと響子と麻子はバーに寄った。
「こんばんはー。」
「あら、いらっしゃい。今日は女子2人ね。」
「はい、実は今日占いでこのビルに来たので、ここで待たせてもらおうと来ました。」
麻子がハキハキと答える。
「ふふ、シロさんね。」
「えっ、ママご存知ですか。」
「もちろん。終わったらこちらにいらっしゃる予定よ。」
「えーシロさんが?」
「でも夜中になるから。あなた方は何時から予約なの?」
「響子か7時半で私が8時からです。」
「そう、お互いが終わるまでここにいたらいいわ。」
「ありがとうございます。占いが終わったら1杯いただきます。」
響子が言うと
「あら、私はもう今から飲むわ。ママ、モヒートお願いします。」
麻子は早速オーダーした。
「じゃ私はそろそろシロさんのところに行くね。ママ、麻子のこと頼みます。」
「はい、いってらっしゃい。」
響子は店を出て、エレベーターで2階に降り、こじんまりしたカフェバーに入った。
「シロさんのご予約の和田様ですね。」
店員が声をかける。
「はい。」
響子はドキドキしながら答えると、奥のソファーに案内された。
シロさんだ!
黒ぶちのメガネをかけ、黒いTシャツに黒のパンツの女性。
響子は一礼してシロさんの前に座った。
「先にお会計をよろしいですか。」
店員がひざをついて響子に伝票を差し出した。
その場でお金を支払い、響子はシロさんに向き合った。
「恋愛についてですか。」
シロさんは響子に尋ねた。
「は、はい。」
若い女性が聞きたいことなんてそんなにないのだろう。
するとシロさんに紙とペンを渡され、名前と生年月日、相手の生年月日を書くよう言われた。
響子は、自分と裕二の名前と生年月日を記入して渡した。