「ああ、朝はパンとコーヒー買いに行って、昼は弁当とか雑誌とか。3回目は携帯の充電コードがまたどっか行っちゃってて買いに行ったんです。会社かなと思うけど、探すのも面倒で。」
裕二は笑いながら答える。キャッシングではないことに響子は安心したものの、それは何回も買うモノではないのでは?と首をかしげた。
「何もしてないといいながら、けっこうお金使ってるわね。」
ママが冷静に言う。
そしてメニューを書いたホワイトボードの文字をさっと消して、なにやら書き出した。
「充電コードのほかに何も買わなかったの?」
「あ、おやつ買いました。飲み物と一緒に。」
ママはふ~とため息をつきながら おやつ等500円と書き足した。
朝:コーヒーとパン 250円
昼:弁当、飲み物、雑誌 1200円
充電コード 2000円
おやつ等500円
「今日ここまでに来るのにいくら使ったの。」
裕二は響子と顔を見合わせて考えた。
「今日は飲むから車は家に置いて、博多駅までの交通費と、さっきご飯食べたのでそのお金とここまでの交通費かな。」
ママは6000円と書いた。ほぼ合ってる。
「ここまでで1万円か。ちょっとコンビニに使うお金が多いわね。毎日コンビニに行ってるの?」
「は、はい。」
「そんなに好きなの。」
「そりゃあ。セブンのコーヒーは美味しいし、ファミマの弁当や食堂シリーズの惣菜、意外とイケるんですよ。ローソンはスイーツが大好きで。特にロールケーキ。」
裕二は嬉しそうにどこのコンビニの何が美味しいのか、説明をし始めた。
ママは少し考えていた。そして、ホワイトボードの文字を一旦全部消した。
「その調子で使っているとなると・・・。冨田さん、突っ込んだ話になるけど、家賃おいくら?」
ママがなぜここまで自分のお金の使い道を根掘り葉掘り聞くのかよくわからなかったが、裕二は
「えっと、55000円と駐車場代が別に8000円くらいかな。」
と答えた。ママは電卓をたたき始めた。なんだなんだ?
家賃プラス駐車場代63000円
コンビニ1日1500×30=45000円
水道光熱費 10000円
スマホ 8000円
車関係 30000円
食費 30000円
美容院、クリーニング 10000円
日用品 5000円
デート代 ?
家賃と駐車場代以外はママの予測だ。ママは裕二をじっとみた。
「お金、足りてないでしょ。」
こわい、ママ。響子は裕二とママをちらちら見ながら、どぎまぎしていた。
裕二は響子の手前、お金がないとはとても言えなかった。でも足りてないのは事実だった。
「冨田さんがアバウトに言っただけでもこれだけのお金がかかってるのよ。これみて自分でどう思う?」
「どうって・・・。」