「一般的には収入の2割を貯金するといいと言われているけど、冨田さんはまだ若いから月2万、夏冬のボーナスで15万ずつは積み立てしたいところよね。
さすがに今の状態で2万はキツイだろうから、月5000円にしてるけど、あと15000円はどこから捻出するか、1カ月でいいから支出を書き出してみて、次来るまでによく考えなさい。」
ボーナスから15万も積み立てに回すのか。信じられないな。みんなそんなことしているんだろうか。
20,000×12月+150,000×2回=540,000
ここまですれば2年で100万貯まるな。
しかし、無理に積み立てを増やしても、結局給料日前にお金が足りなくなって、キャッシングしたら全く意味がない。
やっぱりコンビニと飲み会を減らすしかないのかな。まったく自炊しないからなあ。
一人暮らしをするときに、母親が炊飯器を持たせてくれたが、1回も使っていない。
帰り道、裕二はちょっとおなかが空いてきたので、コンビニに寄ろうと無意識に考え、ハッとした。
「本当に僕は、今なにも考えずにコンビニに入ろうとしたな。」
自分で自分に驚いていた。
特に予算も決めず、目に付いた美味しそうなものを買う毎日。
そりゃコンビニだけで何万も使ってしまうよな。
社会人になって、自分で自由になるお金が入って嬉しかった。
学生時代は、バイト代が全部小遣いだった。
入社して1年目から比べると給料は増えたが、その分支出も増えた。同期や友達との飲み会は、週1回でも月にすると2、3万はいくな。
車は3年おきに買い替える予定だし。リースだけど。
永遠にお金なんか貯まらない気がしてきた。
「冨田君は、どんな計画を立ててくるかね。」
松田さんは、裕二が店を出たあと、ママに話しかけた。
「そうね。若い男性はなんといってもモテが重要だからね。響子ちゃんに振られないように、どうやったら積立額を増やせるか必死で考えるでしょう。楽しみね。」
ママは笑った。